介護

◆ 外出しましょう! ・・・ 車輪の一歩

 1979年にNHKで放映された『男たちの旅路~車輪の一歩』というドラマを観たことがあります。物語は脊髄損傷による肢体不自由(車椅子)の少女が主人公。外出すれば、他人から邪険にされたり、人の助けを借りたりしなければならなかったりと、 いつも嫌な思いをするために次第に家に引きこもるようになっていきます。

 そこに文通で知り合った同じく車椅子の男性6人が「外に出ようじゃないか」と誘います。少女は躊躇しながらも一緒に外出しますが、途中で車椅子の車輪が線路にはまって抜け出せなくなってしまいます。そこへ電車が近づきますが、間一髪のところで少女は通りかかった健常者に助け出されます。「やはり、外出しなければよかった・・・」と泣き崩れる少女。車椅子の男友達も「6人も男がいるのに助けられなかった・・・」と自分たちの無力さを嘆きます。
 この事件以降、「もう二度と外出はしない」と頑なになった少女の心を周囲の人たちが説得してゆきます。
「車椅子が必要となった事実は変わらない。人の助けを借りてどこが悪いのか。
胸を張って堂々と世間に助けてもらい、 外に出るべきだ」
という周囲の人たちの説得に次第に心を開いていき、ある日ついに少女は仲間たちの見守る中、駅の階段の下で「誰か私を(階段の上まで)上げてください」と助けを求めます・・・。
人は、肢体不自由であっても、介護を受ける身の上でも、そして健常者であっても、一人では生きてゆけないのです。
外出先で車椅子を使用している方たちを当たり前のようにお見かけする。そして、当たり前のように健常者が支援する。
そんな世の中になることを切に願いながら、私たちも『車輪』として、お役に立てればと思っております。
                        NPO法人コアラ横浜金沢
                           理事長 長瀬雅俊